好きな人
好きな人は感情の起伏が少なく、いつもどっしり構えていて、精神的に安定している印象を受けた。いつも慌てず、ふわっと構えてことにあたる。焦ってしまいそうな時もどっしりしている。
それでいて愛想が悪いわけでなくニコニコしていて人当たりがとてもいい。
そういうところがたまらなく好きで、例えばデートやなにやらで会話していてあまりに安定しすぎて退屈な時すらあっても、そんなことは瑣末な問題だと思えた。
しかしよくよく話を聞くと彼女も悲しい時や忙しい時に精神的に落ち着かないことがあったり、将来について暗澹たる気持ちになることがあるという。
私は彼女の心がどっしりとしているところが好きだったのだが、そうじゃないところもあって、そういうところに気を付けて振る舞うべきなのだろう。自分の好きな部分だけ見ていちゃだめなんだろう。なんつってな!
境内
「境内」という言葉を具体例にとる。呉音だ。これを「きょうない」とは、21世紀の現在においても、読まない。こんなに科学が発達したのに。
あの高度経済成長を経てもなお、私たちは着物を着なくなってもなお、慣用的に漢字の音読みに複数のあり方があり、私たちはそれを自然にこなしている。
「無理」「無事」何故私たちはこの二つの「無」の発音を峻別できるのか。ちゃんと峻別できるのはもちろんいいことなんだが、ある種の非合理性を備えている。私は日本語大好き人間だから違いがあって良いんだけど、でもやっぱり例えば日本語を勉強する外国人からすると非合理だと思う。
呉音と漢音を見るとき、長い歴史の中で動き続ける人々の営みを感ずる。現在過去未来の歴史のうねりを感じる。やがては呉音と漢音の区別は無くなっていくか合理化されるかするだろう。だが今はまだ。まだだ。
友人の宇野
友人の宇野(仮名、もしかしたら仮名じゃないかもよ?)は、夏目漱石『こころ』のハイライトシーン、先生がKが自殺しているのを発見したシーンの創作モノマネ? が大好きな男だった。
原文では襖を開けて戦慄し、Kの遺書を見つけ、それを読む先生。宇野はそこに創作を加える。
むくり起き上がり「おい」と声を出す。ここまでは原作通りなんだが、襖を開けた後いきなりMMRのキバヤシみたいな大仰なポーズをとり「け、Kええええええええええええええええええええええええええッッッ!!!!!!!!!」と絶叫をする。
なかなかこの面白さを文章で伝えることは難しい。多分面白い部分は、叫ぶんだとしたら本当は本名で叫ぶんだろうけど、手紙の通りの名前「K」で絶叫する部分にあると思う。その他、ポーズや表情や台詞の感じがとてもツボにはまる、謎モノマネであった。
宇野のことを思い出して夏目漱石『こころ』をぱらぱら読みなおした。いろんな人がすでに指摘してるんだろうけど、先生はあんなにしてまでしてお嬢さんを得たのに、お嬢さんに対してひどい仕打ちをする。Kへの贖罪のためだけに、妻となったお嬢さんに優しく接するのだ。
お嬢さん(妻)ももちろん全部は解らないけれど、先生のそうした姿勢に感づいているようだ。「私を理解し得ないために起るぼんやりした
このように後半Kが自殺してからは特に読んでて苦しい。
いっつも、うらみっこなしで、下宿でお嬢さんにどっちが好みのタイプか撰んでもらえば良かったのにって思う。
はてな題詠「短歌の目」5月
今月もぎりぎりになったが詠みました。良い天気になってきており、それが内容に反映されている気がする。
1. うぐいす
うぐいすは それとは知らず 遅い春 蝦夷地の人に それを知らせる
2. 窓
春めいて陽長くなるを窓だけが教えてくれた多忙の日には
3. 並ぶ
順番に並んでいても認識の異なるせいで喧嘩が起こる
4. 水
水星に 衛星有らず 騙ったは コップ座31番星
5. 海
築港の海は深みを潜めおり、船の軋みで水面も見えず
6. かめ
外来のかめはそれ故殺されて冷凍庫から恨んで凍る
7. 発情
あやまって「姉」と寝ました発情をしてはならぬとただ手つないで
8. こい
「こいひる」と書く集落に 釣り人がいて 山並み続いて
9. 茜さす
茜さす真昼の寝床でごろ寝してサボった日の午後やわらかに過ぐ
10. 虹
甜菜の繁る畑に虹が立ち照る野辺歩き夕餉に帰る
aiko
aikoて私が学生のころからずっとずっとずっとキャラを崩さずラブソングを歌い歌い歌い続けているしいつだってライブやPVではピョンピョンピョンピョンジャンプし続けている。これはすごいことだ。一体aiko的な存在でaikoほど自然に第一線で活躍し続けている人物がどれだけいるだろうか。一体どれだけの人間がaikoの前に、眼前に立ち現われ挑戦し、そして去っていったことだろうか。aikoの曲を聴くと、『ボーイフレンド』でも最近の『君の隣』でも良いのだが、慄然となる。どうして不断の努力でパフォーマンスを続けることができるのか慄然となる。aikoはそのキャリアをさも当然のように振る舞う。ピョンピョンピョンピョン相変わらずピョンピョン飛んでる。これは恐ろしいことだ。
施川ユウキ
施川ユウキという漫画家がいる。私が最も影響を受けた漫画家だ。絵は決して上手ではないけれど、豊潤な読書や映画(あるいはテレビ番組)のバックグラウンドから繰り出すギャグやストーリーは、とても文脈的でどっしりしている上に奇を衒えている。
施川は、単行本の話と話との合間にエッセイ的な文章を載せている。これもまた面白い記事ばかりでいつも感激している。
天才である。天才である。施川大好き。
あと尾玉なみえも大好き。
私のマンガへの考えや目線といったものは施川を父とし尾玉を母として形成された。
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